青森県弘前市で開業している行政書士事務所です。

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行政書士 神 裕典事務所

 

〒036-8025 青森県弘前市大字南柳町6-1

TEL.0172-55-0401 FAX.0172-55-0401

 

  著作権法の目的(第1条)

著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。

 

  著作権と特許権の違い

著作権、特許権は、いずれも人間の知的創作活動の成果を保護するための権利である「知的財産権」の一種ですが、かなり違いがあります。

 

最も大きな違いは、特許権が「アイディア」(技術的思想)を保護しているのに対し、著作権は「表現」を保護するものであるというところです。例えば、料理方法を解説した料理書は著作物として保護されますが、そこに書かれている料理の方法自体は「アイディア」であり著作権では保護されないことになります。

 

また、「アイディア」は考え出しただけでは権利がなく、特許庁が審査を行って、産業上利用可能な新規のものであると認められたものだけが登録され、特許権が付与されます。また、同一のアイディアを偶然複数の者が考え出した場合、先に特許庁に出願した者に権利が与えられることになっています。

 

一方、著作権は、「無方式主義」といって、申請や登録を行わなくても、著作物を創作した時点で自動的に創作した者に著作権が与えられます。また、他人の著作物と偶然同じような著作物ができた場合は、それぞれ別の著作物として権利が発生することとなっています。

 

そのほか、著作権には著作者等の人格的な利益を保護するための著作者人格権が認められていますが、特許権にはこのような権利はありません。原則的な保護期間も、著作権は著作者の死後70年ですが、特許権は出願の日から20年となっています。

 

ちなみに、管轄行政庁は著作権が文化庁で特許権は特許庁となっています。

 

  著作権制度の概要

著作権は、次の様な権利によって構成されています。

  • 著作者の権利(著作権)
    • 著作者人格権
    • 著作権(財産権)
  •  
  • 実演家等の権利
    • 実演家人格権
    • 著作隣接権(財産権)
 

 

著作者の権利

@著作物:
小説、講演、音楽、美術、コンピュータープログラム、データベースなど
A著作者:
著作物を創作した者
B「著作者の権利」の付与:
著作物を創作した時点で「自動的」に付与されるので、登録等は不要(無方式主義)
C「著作者の権利」の内容:
  • 著作者の権利(著作権)
    • 著作者人格権
      • 公表権
      • 氏名表示権
      • 同一性保持権
    • 著作権(財産権)
      • 複製権
      • 上演権・演奏権
      • 上映権
      • 公衆送信権
      • 公の伝達権
      • 口述権
      • 展示権
      • 譲渡権
      • 貸与権
      • 頒布権
      • 二次的著作物の創作権
      • 二次的著作物の利用権
D財産権における「〇〇権」の意味:
他人が「無断で〇〇すること」を止めることができる(又は使用料などの条件を付けて、他人が○○することを認める)権利(許諾権)
E「著作権(財産権)」の保護期間:
原則として、創作のときから著作者の死後70年まで(例外として、無名・変名の著作物、団体名義の著作物及び映画の著作物については公表後70年)
F「著作者人格権」の保護期間:
著作者の生存中(ただし、著作者の死後においても、原則として、著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない)
 

 

著作隣接権

@著作隣接権:
著作物等を「伝達する者」(実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者)に付与される権利
A「著作隣接権」の付与:
実演等を行った時点で「自動的」に付与されるので、登録等は不要(無方式主義)
B著作隣接権者:
  • 実演家・・・・・著作物を演じる「歌手」「俳優」など(アマチュアがカラオケで歌っているような場合も含まれる)
  • レコード製作者・・・・・音を最初に固定(録音)した人(アマチュアが鳥の鳴き声などを録音しような場合も含まれる)
  • 放送事業者・・・・・同じ内容を受信者の手元まで無線で同時に送信する事業者(各国ごとの規制行政とは無関係であり、キャンパスFMなど、「放送法」等に基づく免許を得ていない場合も含まれる)
  • 有線放送事業者・・・・・同じ内容を受信者の手元まで有線で同時に送信する事業者(各国ごとの規制行政とは無関係)
C著作隣接権の内容:
  • 実演家の権利

    • 実演家人格権
      • 氏名表示権
      • 同一性保持権
    • 財産権
      • 許諾権
        • 録音権・録画権
        • 放送権、有線放送権
        • 送信可能化権
        • 譲渡権
        • 貸与権(レコード発売後1年間)
      • 報酬請求権
        • CD等の「放送」「有線放送」(同時再送信を含む)について使用料 を請求できる権利
        • CD等の「レンタル」について使用料を請求できる権利(レコード発売後2年目〜70年目まで)
        • 生の実演が含まれる放送の「有線放送」による同時再送信について使用料を請求できる権利
  •  
  • レコード製作者の権利

    • 許諾権
      • 複製権
      • 送信可能化権
      • 譲渡権
      • 貸与権(レコード発売後1年間)
    • 報酬請求権
      • CD等の「放送」「有線放送」(同時再送信を含む)について使用料を請求できる権利
      • CD等の「レンタル」について使用料を請求できる権利(レコード発売後2年目〜70年目まで)
  •  
  • 放送事業者の権利

    • 許諾権
      • 複製権
      • 再放送権、有線放送権
      • 送信可能化権
      • テレビ放送の公の伝達権
  •  
  • 有線放送事業者の権利

    • 許諾権
      • 複製権
      • 放送権、再有線放送権
      • 送信可能化権
      • 有線テレビ放送の公の伝達権
 

注)許諾権:
他人が「無断で○○すること」を止めることができる(使用料などの条件を付けて他人が○○することを認める)権利

 
D「著作隣接権」(財産権)の保護期間:
保護の始まり保護の終わり
実演家その実演を行ったとき実演後70年
レコードその音を最初に固定(録音)した時発行(発売)後70年(発行されなかったときは、固定(録音)後70年)
放送その放送を行ったとき放送後50年
有線放送その有線放送を行ったとき有線放送後50年
E「実演家人格権」の保護期間:
実演家の生存中(ただし、実演家の死後においても、原則として、実演家人格権の侵害となるべき行為をしてはならない)
 

 

出版者について、本の製作(「文章」「写真」などの印刷)は、現行の条約や多くの国の著作権法では、権利の対象となる行為とはされておらず、出版者には、著作者の権利も著作隣接権も与えられていません
ただし、当事者間の契約により出版者に「出版権」を設定(文化庁ホームページ)することは可能です

 

「出版権の設定」を受けた出版者は、侵害行為に対して自ら権利者として差止請求などを行うことができますが、出版を行う義務(原稿の引き渡しを受けた時から6カ月以内)、継続して出版を行う義務も負います。

 

「出版権の設定」等については、登録しなければ第三者に対抗することができません

 

  法人著作(職務著作)

著作者になり得るのは、通常、実際の創作活動を行う自然人たる個人ですが、創作活動を行う個人以外が著作者となる場合が法律により定められています。例えば、新聞記者によって書かれた新聞記事や、公務員によって作成された各種の報告書などのように、会社や国の職員などによって著作物が創作された場合などは、その職員が著作者となるのではなく、会社や国が著作者となる場合があります。(第15条)

 

しかし、会社や国の職員などが創作した著作物のすべてについて、会社や国などが著作者になるわけではありません。

 

次の要件を満たした場合、会社や国が著作者になります。

 

法人著作の要件

  • @その著作物をつくる「企画」を立てるのが法人その他の「使用者」(例えば、国や会社など。以下「法人等」という)であること。
  • A法人等の「業務に従事する者」が創作すること
  • B「職務上」の行為として創作されること
  • C「公表」する場合に「法人等の著作名義」で公表されるものであること
  • D「契約や就業規則」に「職員を著作者とする」という定めがないこと
 

※著作権法上の「法人」には、「法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」を含むこととされています。このため、自治会、PTAのような団体も著作者となる場合があります。

 

  著作権が「侵害」された場合の対抗措置

@「刑事」の対抗措置
権利者が「告訴」を行うことを前提として「10年以下の懲役」又は「1000万円以下の罰金」(懲役と罰金の併科も可)という罰則規定が設けられています。(原則
 
A「民事」の対抗措置
1, 損害賠償請求
2, 差止請求
3, 不当利得返還請求
4, 名誉回復等の措置の請求
 
B紛争解決あっせん制度
あっせんは、著作権法に規定する、著作者人格権、著作者の権利、著作隣接権などに関する紛争であれば、どのような内容でも文化庁に申請することができます。(あっせん申請の手引き)
 

  著作権関係団体

著作物を利用するたびに著作権者を捜し出し、了解を得る事は相当の労力を必要としますが、利用しようとする著作物の分野等に著作権等を集中して管理している団体がある場合には、その団体を窓口として、簡単に利用の了解を得られる場合があります。

 

@著作権等管理事業者(文化庁ホームページ)

A著作物等の利用に関する相談窓口(文化庁ホームページ)

 

  関係法令

著作権法

著作権法施行令

著作権法施行規則

プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律