青森県弘前市で開業している行政書士事務所です。

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行政書士 神 裕典事務所

 

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  宗教法人法の沿革

 戦前の宗教団体法は認可主義、戦後まもなくの宗教法人令は準則主義であったが、宗教法人法においては、認証主義をとっている。宗教法人の設立はもとより、規則の変更、合併及び任意解散について、その都度所轄庁の認証を得なければならないことになっています。

  宗教法人の設立

 宗教法人になり得るのは、宗教法人法に規定する「宗教団体」のみです。この「宗教団体」とは、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体で
 @ 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
 A @に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体とされています(2条)。

なお、「宗教団体」とされているので、団体としての実体(設立前の宗教活動等)が存在しなければなりません。

 宗教法人を設立しようとする者は、所定の事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければなりません(12条1項)。

 なお、認証申請の少なくとも1か月前に、信者、利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を公告しなければなりません(12条3項)。

 宗教法人の所轄庁は、下記に掲げるもの以外は、その主たる事務所(社務所、寺務所等)の所在地を管轄する都道府県知事です。
 @ 他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人
 A @の宗教法人を包括する宗教法人
 B 他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人
(@〜Bは文部科学大臣が所轄庁となります。)

 「認証」とは、法律で定める要件を備えていることを公に確認する行為です。これによって宗教法人の伝統、独自性、自律性を尊重するとともに、宗教団体でないものが宗教法人になったり、法令に適合しない規則の作成、規則の変更、合併、任意解散の手続がなされることを防止しています。

 宗教法人は、所轄庁の規則の認証を得た後、その主たる事務所(社務所、寺務所等)の所在地において設立の登記をすることに因って成立します。

  宗教法人の管理運営

・宗教法人の管理運営@宗教法人法の基本理念
・宗教法人の管理運営A宗教法人の特徴
・宗教法人の管理運営B備えていますか書類、帳簿類
・宗教法人の管理運営C毎年所轄庁に提出することとされている書類とは

  宗教法人の規則変更

 宗教法人の規則には、当該宗教法人の目的、名称、事務所の所在地、規則の変更に係る事項、公告の方法などを記載しなければなりません(12条)。

 宗教法人が規則の変更をしようとするときは、まず規則で定めるところにより、法人内部においてその変更のための手続をし、次にその規則の変更について所轄庁の認証を受けなければなりません(26条)。

  宗教法人の合併

 2以上の宗教法人は、合併して1の宗教法人となることができます(32条)。合併には、合併に因って1の宗教法人が存続し他の宗教法人が解散する、いわゆる吸収合併と、合併に因って宗教法人を設立する、いわゆる新設合併があります。

 宗教法人が合併しようとするときは、所定の手続をした後、その合併について所轄庁の認証を受けなければなりません(33条)。

  宗教法人の任意解散等

 宗教法人の解散には、任意解散と法廷解散があります。

 @ 任意解散をしようとするときは、所定の手続をした後、その解散について所轄庁の認証を受けなければなりません(44条1項)。

 A 法定解散の事由は、規則で定める解散事由の発生、合併、破産手続開始の決定、所轄庁の認証の取り消し、裁判所の解散命令、包括宗教法人における被包括宗教団体の欠亡があります(43条2項)。

  宗教法人の収益事業について

 宗教法人法6条2項で
「宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。」
と規定されています。

収益事業とは、販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます。

収益事業の定義
 @ 販売業、製造業その他の政令で定める事業
 A 継続して行われるもの
 B 事業場を設けて行われるもの

下記の34種類が収益事業です。

1、物品販売業 2、不動産販売業 3、金銭貸付業 4、物品貸付業 5、不動産貸付業 6、製造業 7、通信・放送業 8、運送業、運送取扱業 9、倉庫業 10、請負業 11、印刷業 12、出版業 13、写真業 14、貸席業 15、旅館業 16、料理店業その他飲食業 17、周旋業 18、代理業 19、仲立業 20、問屋業 21、鉱業 22、土石採取業 23、浴場業 24、理容業 25、美容業 26、興行業 27、遊技所業 28、遊覧所業 29、医療保険業 30、技芸教授業 31、駐車場業 32、信用保証業 33、無体財産権の提供等を行う事業 34、労働者派遣業
(法人税法施行令5条より)

 法人税等については、お近くの税理士等にご相談下さい。なお、営業許可等でお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

  宗教法人をめぐるQ&A

 
Q-1. 宗教活動を行っている宗教団体ですが、将来、宗教法人としてではなく一般社団法人又は一般財団法人として法人設立をしたいと考えています。 そのような法人設立は可能でしょうか?

 A. 以前は、理論上も実務上も、宗教団体は宗教法人として法人格を取得すべきであり、社団法人や財団法人として設立することは許されないものと解されいましたが、現在は、社団法人や財団法人として設立することは可能です。 ただし、公益認定を受けることはできません。
 
Q-2. 財団法人を宗教法人に組織替えすることができるのでしょうか?

 A. 宗教法人となることができるのは宗教団体に限られていて、財団法人を宗教法人に組織替えすることはできないのではないかと考えます。
 
Q-3. 宮司・住職等と代表役員を別人にすることは可能ですか?

 A. 宮司・住職等は宗教上の主催者であり、代表役員は宗教法人の執行機関です。従って、宮司・住職等と代表役員を別人にすることは可能です。


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